「名古屋市水素アクション」作成の社会的背景

世界が水素に寄せる期待

パリ協定をきっかけにカーボンニュートラル実現に向けた取り組みが世界的に加速する中、多様な資源から製造でき、製造方法次第でカーボンフリーなエネルギーとなり、発電、輸送、産業等といった幅広い分野で活用ができる水素には、カーボンニュートラル実現のカギとなるエネルギーとして大きな期待が寄せられています

我が国のカーボンニュートラル実現に向けた切り札としての水素

我が国は2017年12月に、2050年を視野に入れ、水素社会実現に向け官民が共有すべき方向性・ビジョンを示した「水素基本戦略」を世界に先駆けて策定しました。その中で、低コストな水素利用の実現や国際的サプライチェーンの開発など、水素をカーボンフリーなエネルギーの新たな選択肢として位置づけ、政府として施策を展開していくための方針を打ち出しました。これ以降2022年までに、25の国・地域が水素戦略を策定しており、我が国は世界の水素社会構築への牽引役を担ってきました。

また、国が2020年12月に策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」においては、水素産業を成長が期待される14の重要分野の1つに定めています。加えて、同戦略を後押しすべく創設されたグリーンイノベーション基金により、水素産業を含む重要分野に対して、過去に例のない2兆円規模かつ10年間にわたる重点的・継続的な支援が行われています。

さらに2023年6月に改定された「水素基本戦略」では、発電、燃料電池、熱・原料利用といった各分野における水素の社会実装の早期実現に向けた基本戦略を示すとともに、世界の水素市場が2050年までに年間2.5兆ドルの収益と3,000万人の雇用を創出すると予測されていることを踏まえ、その取り込みを念頭に置き、我が国の水素コア技術が国内外の水素ビジネスで活用される社会を目指す「水素産業戦略」が盛り込まれました。

  • 「水素基本戦略」改定のポイント